◆新穂地域の郷土芸能
春駒(はりごま)
宮中の節会(せちえ)の行事に由来と言われていますが、養蚕の予祝に関係があるとも言われています。
新春の門付け芸で、正月から三月にかけて各村の家々の門口に新春を寿いで回ったものですが、今では結婚式などのお祝い事などで、縁起を担ぐものとして披露され、親しまれています。
今日、春駒が何らかの形で伝えられている地域は、山梨、沖縄、群馬、静岡、そして佐渡が知られています。佐渡でも、相川・野浦・新穂など限られた地域にしか残っていません。
地方と舞方
地方(じかた)と舞方(まいかた)の二人一組で、唄と踊りを披露します。
地方の唄と舞方のアドリブを交えたセリフを交互に掛け合いながら舞います。
舞方には二通りあり、木製の大形の馬の頭を胸から下げ、馬の尻を背後に付けてまたがるような乗馬型(男春駒)と、小形の馬の頭を手に持って踊る手駒型(女春駒)があります。
面
男春駒の面は、佐渡金銀山の全盛の頃の山師の味方但馬守(みかたたじまのかみ)の顔を模したもので、女春駒は但馬守の奥方の顔を模したものと伝えられています。
【参考文献】
本間雅彦「春駒の文化史」、「佐渡相川郷土史事典」、「図説 佐渡島」
のろま人形
説経人形の幕間に演じられ、使い手のセリフの掛け合いで進む滑稽な人形芝居です。
佐渡では「狂言芝居」とも呼ばれています。佐渡弁の巧みなセリフ回しで、時には時勢や人情の風刺も交えながら観衆の笑いを誘います。
佐渡では廣栄座(こうえいざ) が、説経人形芝居とともに受け継いでいます。
舞台
説経人形と同じく、観客席と舞台を4尺5寸(1.5m)という高い腰幕一枚で隔てた原始的な舞台様式です。
演出
語り本や太夫の語りはなく、時事ネタを交えながら、面白おかしく方言でセリフを語ります。複数の演目がありますが、主役は常に愚鈍な「木之助(きのすけ)」で、失敗して裸にされるというオチになります。
他の登場人物は好々爺の「下長者(しものちょうじゃ)」根性よしで男好きの「お花」、腹黒い「仏師」です。下の長者の登場や、木之助が舞台を逃げ回る場面では、笛と太鼓のおはやしが付けられます。
衣装
木之助の着物だけは前をひもで結んであり、すぐに脱げるようになっています。
人形首(かしら)
4個の首が県の文化財に指定されています。木之助だけは、佐渡の人形には珍しく胴体と手、足があります。男のシンボルは胴体に付いているものもありますが、廣栄座のものは別に20㎝くらいの桐の木に穴をあけて、ここから役者が水を吹き上げ、小便を出します。
代表演目『生地蔵(いきじぞう)』
四国遍路に旅立つ際、女房のお花に生地蔵を土産にせがまれた下の長者は、京の仏師を訪ね、生地蔵を二十五両で注文し四国へ渡った。腹黒い仏師は隣の木之助を生地蔵に仕立て、四国遍路を終えた下の長者に渡した。道中、生地蔵と問答を始めた下の長者は、仏とは思えない受け答えに不信感を抱き、調べようと争いになり、ついに木之助は裸にされて逃げ回る。
鬼太鼓(おにだいこ/おんでこ)
鬼太鼓は、佐渡各地の神社の祭礼に登場し、その年の豊作や大漁、家内安全を祈りながら、家々の厄をはらうために行われる芸能です。
鬼が家々を回ることを門付け(かどづけ)といい、鬼に厄をはらってもらうために、鬼組にご祝儀(御花)を渡します。
神社の祭礼は、4月15日頃の春祭りと、9月15日頃の秋祭りに日程が集中し、生業のリズムと深く結びついたものです。
鬼太鼓は祭礼時に奉納する神事芸能にとどまらず、集落の結びつきを生むよりどころの一つとして、住民だけでなく、就職などで島外に出た人々も出身集落の鬼太鼓を様々な形で支えています。
鬼太鼓はいつから始まったか~鬼太鼓の相川発生説~
「町年寄伊藤氏日記」の安永元年(一七七二)の記事に見られる記述などから、鬼太鼓は江戸時代中頃に、相川の金銀山で働く人たちによって始まったと考える説があります。
鬼太鼓の型
現在、島内のほぼ全域、百をこえる団体がある鬼太鼓。家元がなく、伝承形態は口伝です。団体の数だけ鬼太鼓のスタイルがあるといっても過言ではありません。
集落内で世代から世代へと受け継がれ、また、集落から集落へと伝えられていく中で、個人の癖や見解が影響し、さらに集落の文化、風習、歴史も取り込んで独自の展開をとげたのかもしれません。
多様なスタイルがありながらも、いくつかの型が見いだせると言われています。
相川系(豆まき系)鬼太鼓
相川から佐和田・真野湾地域に見られます。
素襖姿で烏帽子をかぶった翁が枡を持ち、太鼓に合わせて長い袖を振りながら舞います。
国中系鬼太鼓
阿吽一対の鬼が交互に舞います。集落によっては獅子が絡みます。島内で最も多く踊られている型です。
前浜系鬼太鼓
二匹の鬼が笛と太鼓に合わせて対で踊ります。ローソ※という、いわば「祭りの指揮者」が加わる集落もあり、「御花」をいただいた家で口上を述べます。
※集落によって呼び名が異なる。
新穂地域づくり計画で定めた理念、将来像を実現するために活動する協議会のホームページです。
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